緑内障とは

緑内障は、視神経がダメージを受け、視野が徐々に狭くなっていく病気です。進行すると視力の低下につながることもあり、最悪の場合は失明に至ることもあります。
日本人の失明原因の第1位です。御家族に緑内障の方がいる方、近視が強い方は要注意で、40歳以上の17人に1人、70歳以上の11人に1人がかかりますが、その内の80%の方は、緑内障に気づいていないといわれています。緑内障は、重症になるまで自覚症状がない場合が多く、半分以上の視野が欠損して初めて気がつく方も珍しくありません。それは、片眼の見えない部分を反対眼が補い不自由を感じないからです。
40歳を過ぎたら定期的に眼科で検査を受けることをお勧めします。

緑内障かもしれない症状

慢性症状

急性症状

緑内障の原因

眼球は房水という液体により形態が保たれています。房水は毛様体で作られて眼内に入り、隅角から眼外に排出されます。房水は眼球の内部から眼球壁に一定の圧力を加えており、これを眼圧といいます。この圧力が視神経に対する圧迫となり、視神経が障害されるのが緑内障です。眼圧の正常値は 21mmHg以下とされており、眼圧が高い程、緑内障のリスクは高まります。しかし、眼圧が正常でも緑内障になる場合は多く、眼圧が正常の緑内障は全体の70%と言われています。

緑内障の種類

緑内障には原発性のものと、ほかの疾患などが原因となって発症する続発性のものがあります。
原発性の緑内障には、原発開放隅角緑内障と原発閉塞隅角緑内障があります。

原発開放隅角緑内障

原発開放隅角緑内障は、隅角(角膜と虹彩の間)は広くても、房水の排出路である維柱帯と呼ばれる組織が目詰まりを起こし、眼圧が上昇することで視神経が徐々に障害されるものです。隅角が開いているので、眼圧の急激な上昇は起こりにくく生活上の留意点は特になく、種々の内科的薬剤の制限もありません。
初期には自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに視野が狭くなります。
眼圧が高くない正常眼圧緑内障も、原発開放隅角緑内障のひとつです。

原発閉塞隅角緑内障

原発閉塞隅角緑内障は、隅角が狭い、もしくは閉じた状態なため、急激に眼圧が上昇する危険性があります。
暗い所、下向き姿勢、うつぶせ寝、他科処方の内服薬、注射薬、胃カメラ等の検査、他科での手術等、生活上色々な場面で注意が必要となります。
急性原発閉塞隅角緑内障が発症すると、突然の眼痛や頭痛、吐き気、視力低下などの強い症状が現れる場合があります。放置すると短期間で視力を失う危険があり、治療は緊急を要します。

緑内障は40歳以上の17人に1人、70歳以上の11人に1人がかかります。
その内の80%の方は、緑内障に気づいていないといわれています。
緑内障は早期発見、早期治療が大切です。
40歳を過ぎたら眼科で緑内障の検査を受けましょう。

続発性に関しては、糖尿病、白内障、ぶどう膜炎、外傷、ステロイドなど薬剤の影響、目の腫瘍などが原因としてあげられます。

緑内障の治療法

一度失われた視野を回復させる治療は今のところありません。
緑内障の治療では進行を遅らせ、現状を維持することが目的となり、方法は、眼圧を低下させ、視神経へのダメージを減らすことで行います。
眼圧が正常な「正常眼圧緑内障」の方でも、より眼圧を下げることで、視神経へのダメージを減らします。
点眼薬などの薬物療法が第一選択となります。
薬剤アレルギーや喘息、心臓疾患などにより点眼薬を使用できない場合、点眼薬の効果が不十分な場合、視野進行が抑制できない場合には、レーザー治療や手術治療を検討します。
必要に応じて提携する高度医療機関へご紹介させていただきます。

緑内障は治療の継続が大切です。

緑内障は視野が狭くなる病気で、日本人の失明原因の第1位です。
残念ながら既に失われた視野を回復する治療はありません。
しかし、早期発見、早期治療開始、そして進行を抑制する治療を継続していくことで視野障害を最小限に食い止めれば、今後も支障なく日常生活を送れる可能性は十分にあります。
早期に発見されても不都合がないために、放置されるケースがありますが、いつの間にかに病気は進行してしまいます。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病と同様に、定期的な受診を怠らず、しっかりと治療に取り組むことが大切です。